「有り難う、香澄。
楽になったよ!」

 「そう、それなら良かった。
 私ならね、人を好きになったら、エンドロールが流れるまでは諦めないよ」


 「そんな香澄になりたい」


 「あら、どうして?」

 「私に無いものが沢山あって、そういう考え方も魅力的だから」

 「有り難う。

 でも、痩せた華は、私から見ても羨ましいくらい、可愛いくて魅力的だけどね。

 失恋もするもんだね。
そうやって人は変わってゆく。

 華も変われた。

 恋を忘れたり、出来なくなったら、寂しい女になるよ!

 切なくて、辛いくらいが丁度いいのかもよ?」


 「香澄は恋してる?」


 「恋はしてますよ!

 私は肉食女だからね。
自分から行くの。
何もしなければ、状況なんて変わりっこない。
そのまんまなんて嫌だもん!
 私はあなたに好意を持ってますって、積極的にアプローチしますよ!」


 「そういうとこ、本当に羨ましい!」

 「待ってる時間が惜しいからよ!
片思いはオナニーと一緒だもん」

 「ちょちょつと‥‥‥オナニーって!?」




 オナニーって……
ここ、お洒落なカフェですが!!



 笑っちゃうけど、言われてみたら、確かにそうかも?


 モヤモヤを自分の中で消化しょうとして、あらゆる妄想を抱いたままで、現実は何も変わらない。

 恋しい気持ちを思い出しながら、本音は寂しくて切なかったりもするもんね…


 片思いは、純粋な心のオナニー?!





 私は笑う。
目の前の香澄も笑ってる。


 お洒落なカフェには不似合いの会話で盛り上がる。


 それでも友達とお茶を飲みながらの恋バナは、とても楽しくて有意義な時間だ!