ーー店を出て、泣きそうになりながら駅を目指した。

 足取りは重い…



 太っているのがコンプレックスなら、痩せればいいって簡単に言うじゃん?

 確かにそうだよ。
 正論だよ。

 そうすりゃーいいんだよ。

でもさ、それって簡単じゃない……

 そう言われる毎に傷ついてるし、ダイエットだってしてる。

 まぁ、続かないで失敗してるからさ、いつまでもデブなまんまで、捻くれたわけで‥‥

 甘えてるって言われても仕方ないよ?
雰囲気崩してみっともないよ。
大人げないよ。

 ーーそんなの、言われなくても分かってる!



 いけないのは自分。
いつまでも変われない自分。



 涙が頬を伝う。
デブは哀愁の空気に包まれ、弁解を心で朗読しながら、歩いていた。





 ーーその時!!ーー






 「華ちゃん、
待って!」

 後ろから私の名前を呼ぶ声。
走ってくる足音。

 『えっ、私?
誰か私の名前呼んだ?』


 私は振り向いた……