「沢口君、
よく言われんのよ!
癒し系クマタイプって。
もう少し痩せたら世界変わるかもね?
沢口君もさ、見てると残念なイケメンだよね?
思った事を考えなしで、口から出ちゃうタイプだもん。
本当に残念だわー」


 ハイ!反撃しますよ私。
負けません!!
防御システム全開です。

 そして笑顔の私。


 周り‥
 唖然…
 重たい空気に包まれる…

 沢口ポカン顔。

 ざまーみろ!!

 あんたが誠治さんの前で恥かかせたからだからね!

 あんたには関係ないけど、高校時代も同じような事あって、私の淡い恋が台無しになったんだから!!

 トラウマなんだよ!!
私にデブという言葉をオブラートに包んで取り繕うのは!!

 こんな、嫌味臭い女になりたくないのに‥…



 いつも、いいなぁって思う人が現れると、その人の前で恥かかされる。




 ーー本当に神様は意地悪だーー






 「あっ、ごめん。
私、用事思い出した。
帰るね」

 こういう時は早めに退散です。
これ以上空気が悪くならないうちに…


 お会計の割り勘分を優奈に渡し、

 「足りなかったら、
月曜日に請求してね」

 そう言って、これ以上場の雰囲気を壊さない様に抜けますよ。

 「華‥‥‥‥‥」

 優奈はバツが悪そうな顔をしながら、私の名前を言ったが、言葉が見つからない様子。

 「用事は今日じゃないとダメなの?
気分変えて飲もうよ」

マドカにもそう言われたけど、気分は戻らなそうもない……


 「悪いね。
後はみんなで盛り上がってよ!」


 そう言い残して、店を出た。