「残念だったなぁ、乱魔」
くそ……
また演技だったってわけか………
俺らが照明を落とすってのはそっちも考えてたんだな。
さあ、どうする?
これ以上もう打つ手はねぇぞ……
『逃げろ、乱魔』
マジか。
ここまできて逃亡?
俺のプライドが許さないんですけど。
『捕まりたいか?』
なわけ。
あー、せっかく目の前に宝があんのになぁ………
「どうした、乱魔。もう終わりか?」
うっわ、腹立つ!
なにこのくそガキ!
ろくな大人になんねーぞ!
「今日はここまでにしとく。次はねぇから」
「ふっ……それはこっちのセリフだ。次こそ捕まえてやる」
俺はラビットと睨み合いながらその場を去った。
「お疲れ、乱魔」
車に乗ると空海が言ってくれた。
「空海、予定変更だ」
俺は運転をしている空海に言う。
「は?どう変えんの?」
「もう柏木のモノは盗まない。ラビットに柏木のことを気付かせる」
「どうやって?」
「それを今から考えるんだろ」
「はいはい」
空海はやれやれというように返事した。