「場所がわかった」
極力小さな声で返す。
『それはよかった。俺もだ』
さすがだ。
なら、話は早い。
『とりあえず電気を切るぞ』
「あぁ」
こうすることでパニックになるのはきっと柏木だけ。
住吉とラビットは平然としてるだろう。
だが、それでいい。
2人には囮になってもらう。
パニクった柏木が本物の万年筆を探し、それがあるとこを口にするだろう。
そしたら、俺らの勝ち。
ガキ相手になんともおとなげねぇ方法をとるが、これしかない。
『3、2、1……』
空海のカウントに合わせて照明が落ちる。
「え、え!?ちょ、明かりは!?僕の万年筆、大丈夫なんですか!?」
おー、予想通り。
見事にパニック状態。
ま、残念なことに場所は言わなかったけど。
「落ち着け!無事だから!」
柏木につられるように、ラビットも慌てる。
なんだ。
やっぱ子供じゃねぇか。
さ、万年筆を───
「は……!?」
盗んでやろうと思ったのに。
それよりも先に電気が復旧して。
嬉しそうに笑うラビットが目の前に。