――――――――雷が、
ヴォルドとゲイルの間に落ちたのだ。
「陛下、此方へ……。
っ、陛下ッ!!」
まだ光に包まれた、辺り。
腕で光を防ぐゲイルとリバイ。
だが、ヴォルドは
その光に歩いて向かっていく。
シューッと、弱まり始めた光。
瞬時に止まった雨。
そして、空の雲が晴れて
太陽まで顔を出した。
腕を退けてヴォルドに近付いた二人。
その腕に抱かれた
白銀の髪を持つ少女に息を飲んだ。
「異世界からの、来訪者か。」
静かに言うヴォルドは、
じっと美しい少女を見つめていた。
「白銀の、髪ってこたぁ……
陛下の御相手って事になるのか?」
ゲイルの言葉に、リバイも納得する。
長い睫毛が微かに動いて、
ゆっくりとその目が開かれれば、
赤き瞳が露になる。
それで、確実にヴォルドの
相手と決まったような者だ。
「女、貴様……」
「お、ね………ちゃ…」
艶めく唇が微かに動いて
呟かれた言葉は、
ヴォルドの言葉を遮った。
大きな瞳から一筋の涙が零れる………。
「案ずるな、少し眠れ。」
そんな帝王陛下の言葉に目を見開いた
ゲイルとリバイ。
あの残酷なヴォルドが、
そんな言葉を掛けるとは
夢にも思わなかったからだ。
同じ様に、ヴォルド自身驚いていた。
美しい少女とはいえ、
自分の口から出た言葉に
驚きを隠せないでいたが
いつもの無表情を心掛けた。
グッと胸を締め付けられる感覚に、
ヴォルドは戸惑っていたのだ。
ゆっくりと閉ざされた瞼。
面白い――――――――。
ヴォルドは、リバイに目を移した。
「この女を湯殿へ。
その後、我の部屋へ連れて来い。」
歩き出した主の背中を見つめて、
リバイは御意と、呟いたのだった。