「失礼しました。」 そうまだ中にいる先生に向かって声をかけ、 わたしはゆっくりと準備室のドアを閉めた。 「もうこんな時間か…。」 お気に入りの腕時計を見ながら呟くわたしの周りには、 もう生徒の姿はどこにも見当たらない。 …当たり前か。 今時計が指すのは、7時をちょっと過ぎたあたり。 部活が中止だった今日、この時間に誰もいないのは逆に当然のこと。