「…何が起きてるの…?」
廊下に出て、私は息を飲んだ。
「あら、凛音お嬢様。呆然としてどうなさったんですか?」
さっきまで廊下には誰もいなかったはずなのに、今は何人かの使用人が廊下をうろついていた。
どうして皆いるの…?
さっきまで人1人すらいなかったじゃない…。
「お嬢様…その服…髪の毛まで。それにこの鉄のような臭い、どうなさったんですか…?」
使用人のひとりが血相を変えてに私を見つめていた。
そうだ。そんなことより…。
「…そうよ!大変なの!!お、お父様の頭が…。」
私の方を見るあのおぞましいお父様の目。
…いや、あんなのもうお父様じゃない。
思い出すと、おぇっとお腹のものが全て出てしまいそうになる。
「お嬢様!!大変です!!…さっき旦那様の書斎から…きゃあああああああ!!」
使用人の恐怖に満ちた叫び声がこの広い廊下に響き渡った。
私は恐怖で体が氷のように固まり、声のする方を振り向くことが出来ない。