side.杏野 瑠実


頭が痛くなるような生徒の声。

私は、送り向かいの車から降り〝ローズマリン女学園〟通称、ローズ学園の大きな鉄の門を潜った。

そこは、清女ばかりが集まるお城だ。

いや。私からしてみたら、鉄の梯子で隔離された牢獄だ。

「ご、ごきげんよう!ルミ様!」

私が下駄箱で靴を履き替えようとしていると、ピンクの花のカチューシャをして目をキラキラさせている子と、その横で恥ずかしそうに俯向くポニーテールの子が立っていた。

「あら、ごきげんよう」

私はいつものように柔らかく微笑みながら言った。

1年生かしら。初めて見る顔。それに、何で私の名前を?

「ルミ様!あの、今日はですね…ルミ様の為にこれを作って参りました!」

そう言って、ピンクの花のカチューシャの子が可愛くコーデされた小さい箱を差し出してきた。