「おい。確かに眼鏡は変えたが、今はそんな話関係ないだろ」
都刷先生はさっきよりも更に眉間に皺を寄せた。
そんな怖い顔しないで。
心配してくれてるのは嬉しいけど、もっともっと頑張らないといけないの。
人形は人形らしく、良い子にしてなくちゃいけないー。
そう言ったのは先生ですよ。
「そんなに心配なさらなくても大丈夫ですよ。しっかりお披露目会には間に合わせますから」
私はそう言って、何かを言いたそうにしている先生に軽く会釈をして教室を後にした。
side.都刷 ジン
彼女が居なくなった教室には、6月の風が吹いていた。
はあー。
俺は大きなため息をつきながら瑠実が座っていた椅子に腰を下ろした。
ここの窓から見える夕日はとても綺麗だ。
今はまだ昼前だが、ここからの夕日は何故だか昔を思い出す。
昔の無邪気な笑顔で笑う瑠実ー。