「ーーーお前、死んだのか?」
既視感に溢れるこの光景。
心がないかのような、冷たい表情で私を見下ろすーーー綺麗な顔をした悪魔。
「…くろ、さき……」
「ーー…だ、誰だよお前!」
「おい、意識手放すんじゃねぇぞ」
狼狽える葉月なんて存在すら見えてないかのようで、玄関前で横向きに倒れる私の頭を靴の先端で小突いてくる。
立ち上がる力も意識もない私はもう早くこの場から去りたい一心なのに、
「殺すか、こいつ」
冗談には聞こえない声で私に解いてくるクロサキ。
相手はヤクザ。その気になればいつでも掠め取れる。
私はただやめて、と首を振って意思を伝えるしかなくて。
「お前かよ!?金で俺の女とヤったのは!!」
「……」
「人のもんに手ぇ出してタダで済むなと思うなよ!?」
「……」
「見てくれだけでヤったんだろ!?いい女ってだけで手ぇ出したんだろうが!!」
「……」
「所詮お前はお古なんだよ!俺が全部コイツに仕込んだんだ!!奉仕の仕方だって全部俺がーーーーーーー」
噛み付く葉月に黙らせようと思ったのか、一歩踏み出そうとする足に思わず飛びついた。