「俺が出した後によくそいつヤレんな!」

「は…づ、き…」


息が、できない…。

涙でぼやけてる視界にぼんやりと怒り狂う葉月がどんどん遠のくのを感じる。
葉月の腕を掴む指にも力が抜けていく。

意識が、すり抜けそう…。


「誰の許可得てカラダ売れなんて言ったよッ!?あぁ!?そいつもお前に種付けしたなんて言わねぇよな!?お前もしっかり喘いだのかよ!?簡単に股開いたのかって聞いてんだよ!!!このクソおん、ーーーーーーー……」



「ーーーーーーーー」






自分の体が自分のじゃなくなっていくの感じていた。


葉月の怒号も怒りに歪んだ顔も苦しさも感じなくなったその瞬間、フワッと全身が鳥肌立つようなゾッとした感覚に襲われた。


どこが上でどこが下か、天地がひっくり返るような感覚。




だけど、体のどこかに感じるかすり傷にあったヒリヒリすような刺激と、重く激しい雨の音と湿っぽい匂いが私の意識を誘ってくる。

タガが外れたように口から酸素が流れ込んで、次第に視界が掃けていくのを感じる。



全身に染み渡る酸素を感じて、けたたましく吐き出された咳がどんどん溢れてくる。

止まらない咳を吐き出す中、自分が地面に倒れているんだと漸く理解した時ーーーーー微かに歪む視界に写った男。