いつかこうなる事は分かってた。
葉月とはずっと一緒にいられるなんて、都合のいい終焉なんてものはとっくの昔に捨ててきた。
一緒にいすぎた所為なのか、歳を重ねた所為なのかは分からない。
2人ぼっちだった私たちはお互いしかいなくて、自分が自分である事を確かめれるのはいつだって葉月しかいなかった。
それは愛ではない。情に姿を変えたけど。
親も友達も葉月と計りにかけて、葉月はその重さに勝ってきた。
こんな結果になったとしてもあの時の選択は、間違っていなかったと思える。
葉月との関係が終わってもそれは変わらない。
だから、この選択も間違いなんかじゃない。
「一人で大丈夫ですか?次はそんな傷じゃ済まされないかもしれない」
車を降りようとする私に、環が心配そうに止める。
アパートから少し離れた場所に路駐する車はエンジンを止めてまるで潜んでいるかのよう。
運転席に環、後部座席にクロサキ。
助手席から見えるアパートの灯りは点いているから環は帰ってるみたい。
今日中に返済をしなきゃならないからあの部屋できっと葉月は怯えてる。
「僕が代わりに行っても、」
「9年間付き合った恋人との別れくらいさせてよ」