そう言うと帯に手をかけ解こうとする環に咄嗟に手をかける。


「じ、自分でやる!」

「時間がありません。そんな怪我でモタつくのであれば僕がやった方が早いです」


有無を言わせないというように抵抗する私を無視してて手馴れた手つきで直していく環。

確かにさっきは羞恥心が欠けてたと思うけど今は正常で、浴衣の下は下着しか纏ってない。
下着姿なんて男の人には葉月以外見せたことはなかったのに、精神がしっかりした今のここでこんな目に遭うなんて。


「別に欲情して取って食ったりしません。それよりも貴女には一刻も早く飲まなければものがあるでしょう?」

「あ、」

「クロサキが掻き出したとはいえそんなの気休めです」

「…今、何時?ま、待って私…」

「大丈夫です。まだそんなに時間は経っていません。けど、早いに越した事はない」


用意周到な環に安堵する。そんなことすら考える余裕がなかった自分を恥じた。


「…来てくれて、ありがとう」

「いえ、貴女がこんな目に遭ったのは僕の責任でもあります。迂闊でした。まさか、当人の男が出るとは思いませんでしたので」


「どうしようもない男」と卑下される葉月から電話越しに暴言を吐かれ、こんな有り様の私を見て環は更にそう思ったんだろうと思うと、苦笑いを浮かべるしかなくて。