同じ大学に行ったけれど、あたしの中で怒田は「哀河の友達」になってる。怒田もきっとあたしのことを同じように思っていると思う。

哀河のいない大学生活で、怒田とは最低限の会話しかしない。

学部は同じだけど学科が違うし、行動するグループが違えば、大きい大学で会うことなんて稀。

たまに話してるのを友達見られて驚かれるくらいだ。

兎に角、と言いながら怒田はあたしの腕を引っ張った。

ぐらりと傾きながらもあたしは踏ん張ることもせずに着いていく。

建物の陰に入ると、日差しの中より随分涼しく感じた。