誠実であればあるほど、きっと損をする世界だ。
「日射病になるぞ」
期待して振り向くと、いたのは怒田。
高校大学と同じところへ進学した友達のようなそれ以下のような。
もともと哀河の友達みたいな関係で、あたしもなんとなく話すようになった。
「なんで怒田がいんの?」
ここは最近できたショッピングモールへ隣接する駅。恋人友達家族連れはいるけれど、流石に一人で行くには目立つと思う。
「一回これ飲めよ」
さっきから頬に当てられていたのはペットボトル。中身は麦茶。
怒田らしい選択だと思う。ミネラルたっぷり、渋い。
合理的。