「ありがとう」


熱いから少しづつ口に含んだ。

普段コーヒーは苦くてきらいだから飲まない。

でもハナの入れてくれたコーヒーは、不思議なくらい苦さも渋さも感じなかった。


「どうしてあんなとこにいたの?おうちは?」


ハナが僕の座っているソファの横に腰掛けた。

とてもいい香りがする。


「上京してきたんだ。だから家はない」



「…ユウちゃんは何歳なの?」



ギクッとした。

でも嘘をつく理由もない。