僕たちはカフェに移動した。
さすがに寒すぎた。
ハナはコーヒーで、僕はホットココア。
「で、なんなの運命って」
ホットココアをスプーンでぐるぐるかき回しながら言った。
「わ、笑わないでね」
「笑わないよ」
ハナが照れくさそうに髪を耳にかけた。
コーヒーをすする。
一息ついて、話し始めた。
「あたしね、弟がいるの」
「うん」
「春人って言うんだけど、ちっちゃいころ事故に遭って…死んじゃったの」
困ったように微笑む。
無理して笑ってることが伝わった。
「生きてたらちょうどユウちゃんと同じような歳で…」
「……」
「ユウちゃんが地面に倒れてた時、最初は救急車呼ぼうかと思ったんだ。」
ハナはうつろげに僕の手元をみていた。
「でも、ユウちゃんが「いやだ、やめて」って何度もうなされてて、できなかったの」
「え、僕そんなこと言ってたの?」
びっくりした。
記憶にない。
当たり前か、意識なかったし…。