またこの夢か…。


何度見ても頭が痛くなって、イライラする。

「…はぁ…」

深いため息をつき、ベッドから起き上がった。



壁にかかっているのは新しい制服。

本当は昨日入学するはずだったけど、熱を出して行けなかった。

あたしって熱出すタイプじゃないのに。


「あ、起きてたの。ご飯食べちゃって。今日から新しい学校でしょ?」

扉を開けてお母さんが顔を出す。

未だにズキズキする頭をよそに、適当に返事を返した。


「…いってきます」

「いってらっしゃい」


新しい制服はまだ慣れないけど、様になってはいると思う。

だってさっきから、視線を感じる。

…慣れたことだけれど。



今までの自転車通学から、電車通学に変わり、見る景色も、人も変わった。


(転校なんてしたことないんだけど。友達できるかな。)

なんてあたしらしくないことを考えるのも、春のせいであってほしい。



そして徐々に近づく、新天地。

この校門をくぐれば、今日からそこがあたしの場所だ。

躊躇うことは何もない。

もう、あんなことは起きない。



あんな惨めな思いもしない。


快晴な青空の下、あたしは門をくぐった。