『――…ちゃん…ごめんね――…』


一番印象に残っている恋乃美(このみ)の表情は、私のなかで消えることは無いだろう。


「たくさん謝らせちゃったなぁ…」


そう呟いてみても、


後悔しても、


もう、なにもできないのだけれど。




この夢を見たのは何回目だろう。

そんなことを考えながら
恋乃美の残したノートを、手紙を、開く。


「ふふ…恋乃美らしいな…」


言っていて落ちてくる涙は、紙にシミを作っていく。




……彼も恋乃美の残した「言葉」を読んだだろうか。







3年間伝えることが出来なかった想いは

彼に届いただろうか。



「私たちも恋乃美に…届けるからね」


もう返事は返ってこない。

けれど、

もしかしたらなんて、期待している自分がいて。


「なんだ…やっぱり私、恋乃美のこと忘れられてないじゃん…」



恋乃美の大好きだった人。

恋乃美が大切にしたかった人。







この物語は

恋乃美の伝えたかった

最後の「言葉」が届くまでのお話―…。