3年D組の教室は、3階南館にあった。
廊下には、ちらほらと生徒の姿があったけれど、始業式だからかほとんどいなかった。

泉くんの手を取ったまま、D組の教室に入る。
席に着いて本を読んでいる子、友達と話している子、騒いでいる子、机に伏せて寝ている子。見渡す限り様々な光景が見られた。

「澪琳、おはよ!」
声のする方へ目を向けると、親友の姿があった。
「美羅ちゃん、おはよう」
快活という言葉は彼女にぴったりだと思う。五体からみなぎる力が溢れ出している。
そしてパッチリとした目。漆のような黒く艶やかな髪を、後ろでひとつに結っている。細く高い鼻に、小さくて薄い唇。
彼女は一口に言って美人だった。