「で、マサキ先輩はなんて?」

「今日お兄ちゃんに電話してみるって。」

「そっか、よかったじゃん。だけど、どうしちゃったんだろうね。ユイカのお兄ちゃん。」

「ほんとわかんない。将来の不安だとかで、あそこまで凹んじゃうもんなのかな。」

「そうだよね。」

「マサキもそこを心配してた。それ以外に悩んでることがあるのかもしれないって。」

マドカもじっと一点を見つめて黙り込んだ。

「何だろうね。ほんと、早くいつもみたいに元気になってほしい。」

マドカは心配そうな目で私の方を見上げた。

「ありがとう。マドカ。きっと大丈夫だよ。」

どっちが励まして、どっちが励まされてるのかわからない構図になっていた。

「マドカまでそんな悲しそうな目しないでよ。」

私は笑ってマドカのほっぺを自分の両手で挟んだ。

「ユイカと私は一心同体なんだよ。」

「うん。ありがとう。マドカがいるから私は大丈夫だよ。それに、お兄ちゃんもマサキがいるからきっと大丈夫。」

マドカは私の頭をポンポンと叩いて笑った。

私って、つくづく幸せものだなって思う。

マドカもマサキもそばにいて、何かあったら自分のこと以上に心配して助けてくれるんだもの。

それなのに、私はそんな二人にちゃんと恩返しできてる?


そして、また2時限目のチャイムが鳴った。