「ユイカのお兄ちゃん、どうしてる?」

「どうしてるって相変わらず、だけど?」

「お姉ちゃんの友達が、ユイカのお兄ちゃんと同じ高校なんだけどさ、お兄ちゃんここんとこずっと学校来てないみたいなんだって。知ってた?」

え??

そうなの?

いつも寝てばっかだなって思ってたけど、ちゃんと学校行ってないって?!

「知らないよ。今聞いてびっくり。」

きっとお母さんも知らないんだろうな。

最近、おばちゃんのことで忙しかったから家にもいなかったみたいだし。

「それに、お姉ちゃんと同じ塾って言ってたでしょ?先週から塾にも来てないらしいよ。」

「本当?夜は塾にいつも通りでかけて帰ってきてたと思うんだけど。」

「うちのお姉ちゃんも心配してたよ。体調悪いのかなって。」

「元気じゃないけど、でも学校や塾を休むほどじゃないと思うんだけどな。」

マサキが兄と話をしてくれて随分元気になったと思ったのも束の間、またすぐに戻っちゃってたんだよね。

マサキ効果も数日しか続かないんだ。どってことないじゃん。

っていうか、そんなこと言ってる場合じゃないか。

兄は、私達が考えてる以上に悩んでるのかもしれない。

急に心配が増幅した。兄は大丈夫なのかな。

昨日、兄に対して冷たくしてしまった自分を反省した。

マサキは、このこと知ってるんだろうか。

兄のことで今頼れるのは、やっぱりマサキしか思いつかなかった。

「ちょっと行ってくる。」

そう思った瞬間、気づいたら走り出していた。

マサキの教室へ。