「ユイカ!おはよ。」

ハルトが自分の席に戻っていったと同時に、待ってましたとばかりにマドカが飛んで来た。

「昨日の話合いってどうだった?」

「そうそう、マドカにお願いしなくちゃね。応援団でマスコットキャラクターを作ることになってさ。そのキャラクター案を来週の木曜日までに考えてきて。」

「なにそれぇ。」

言うと思った。

「マスコットキャラクターをさ、ハリボテで、そうねぇ、これくらいのやつ作って、応援団のそばに置いておくんだって。できるだけ強そうなイメージのキャラクター考えてきてよね。」

「わかんないわよー。全くイメージ沸いてこない。」

そういえば、マドカは美術が苦手だったっけ。

昔、にわとりの絵を描かせたら、くちばしの下に更に口を描いてたのを見て大笑いしたことがあった。

「既存のキャラクターでも構わないわ。例えばムーミンとかね。」

「ムーミンじゃ勝てる気しないわ。」

ほら、私と同じ意見。

「別にムーミンじゃなくてもいいし。ただ、ハリボテで作ること考えたらあんまり複雑な形じゃない方がいいかもね。」

「えらく難しい課題出すのねぇ。わかったわ。お姉ちゃんなら絵が得意だから考えてもらってみる。」

「それずるくない?」

そう言いながら二人顔を見合わせて笑った。

「あ、お姉ちゃんで思い出したけど。」

急にマドカの表情が深刻になった。