あー、マドカから頼まれたからとはいえ、実行委員なんかに手挙げるんじゃなかった。

後悔先に立たず。

あゆみおばちゃんの言うように「後悔のない人生」なんて無理だわ。

これを後悔と呼ばずして何と呼ぶ!

後悔しない状況になんてできやしない。

山崎ハルトめ。

くやしいから、しっかり勤めてあげるわよ、副委員長。

ぶつくさ言ってる私の横で、マドカは嬉しそうに笑っていた。


翌日の木曜日。

朝から憂鬱。

マドカは今日はクラスメイトのミク達と一緒にいつものカフェでお茶してしゃべって帰るって言ってた。

いいよねぇ。

役職についてない平メンバーは!

終わるまで待っててって頼んだけど、今日は夜から塾があるから無理だって、速攻却下されたし。

終業のチャイムが鳴る。

「ばいばーい!」

と言って帰って行くマドカを見ながら、このままばっくれてやろうかしらと思う。

その時、

「河野さん。」

横からハルトの声がした。

「今から例の話合いいい?」

「うん。」

「ここでちゃっとやっちゃおう。僕もあまり遅くまで残れないし。」

当たり前だっつうの。

長時間拘束されるなんてまっぴらごめんだわ。

机を挟んで二人向き合って座った。

山崎ハルトの顔を正面からまじまじ見る。

男にしては透き通るように白い肌をしていた。

手元の資料を読んでる目元はとても睫が長くて、きっと昔は女子に間違われたんじゃないって思うほど繊細な印象だった。

顔はそんな悪くもないのに、性格がひんまがってるんじゃね。

私は右手でほおづえをついて、ハルトの次の言葉を待っていた。