マドカが私のすぐ横でうずくまってケタケタ笑っていた。

思わず、マドカの頭を軽くグーでパンチする。

「明日の放課後、今後のスケジュールとどんな応援するかのたたき台を俺作ってくるから話だけ聞いて。」

「明日は残念ながら、部活ですぅ。」

口をとがらせて言ってやったら、マドカがすかさず横から口をはさむ。

「顧問がさっき廊下であった時、明日は部活休みだってさ。これから毎週木曜は休みにするらしいよ。」

「どうして毎週木曜?」

「顧問の都合でしょ。」

マドカは自分はラッキーとばかりにピースサインをして二カッと笑った。

「俺もさっき卓球部の友達からその話聞いたんだ。だから木曜日を打ち合わせの日にしようと思ってさ。」

「まじで?ほんと勝手ね。私も忙しいから毎週木曜だなんて言われても難しいわ。」

「何が忙しいの?」

どうしてそうも冷淡な物言いができるもんなのかしらね。

ハルトの切れ長の目をじっとにらみつけながら、なんとかこの場を切り抜ける術を考えた。

「山崎くんは部活やってないの?木曜は常に空いてるわけ?」

「俺、帰宅部だから。」

「なにそれ。何も入ってないの?」

って言いながら、卓球部も大して活動していないことを思い出してそれ以上突っ込むのをやめた。

「人には色々と事情ってもんがあるんだ。部活入ろうが入るまいが河野さんには関係ないだろ。」

まぁ、ごもっともなことです。

ハルトって奴、結構頭の回転早そう。

なかなか手強いかもしれない。

「とりあえず、今日はお開きということで。」

教室に残っていた委員メンバー達はぞろぞろと帰っていった。

私もなんだか納得いかない気持ちのまま、教室を後にする。

「なにあれ、山崎ハルトって。」

私はぷんぷんしながらマドカに言った。

「あんな無礼な奴だったとはねぇ。クラスで見てる限りでは、真面目でよく発表してて賢い感じなのにね。」

「よほど私のことが嫌いなんだわ。」

「っていうか、嫌いだったらそもそも副委員長には選ばないと思うけど。」

マドカの顔をキッとにらんだ。

「おしゃべりがうるさいし、きっと副委員長なんて役でもしなきゃ真面目に活動しないって思ってんのよ。失礼しちゃうわ。」

「だけど、その通りだったんじゃない?もともとこの実行委員無理矢理手挙げてたし。」

「ま、そうだけどさ。」

「いいじゃん、部活も今ひとつだし、高校生活何か一つでもやった!ってのがあるだけでも違うんじゃない?」

私はだまっていた。

こんなんでいいんだろうか。

こんな感じで副委員長選ばれて、とりあえず嫌々やってさ。それでもやった!って感じになるの?