「あのさ、シュンタは元気にしてる?」

今日は朝からお兄ちゃんの話題に事欠かない。

「うん、まぁまぁかな。」

「そっか。」

「私に聞くより、お兄ちゃんとはしょっちゅうやりとりしてんじゃないの?」

マサキの汚れた上靴に目をやりながら言った。

「いや、それがさ。こないだから、全然返事がなくて心配してるんだ。」

「こないだって、いつから?」

「先週末くらいかな。」

先週末・・・か。

塾の実力テストがあった日かな。

あと、あゆみおばちゃんが入院したって聞かされた日。

「いつもならすぐに返事くれるのにさ。どうしちゃったんだろうって。なんとなく最近元気ないなって思ってたから余計気になってさ。」

母も私も気になってる。

お兄ちゃんが元気ないってことに。

「実は、私も気になってたんだ。最近あんまりしゃべってもくれないし、食欲も落ちてるし。」

「そうなんだ。あいつ、また進学のことで悩んでんのかな。ほら、こないだ食事行った時にもぼやいてただろ?」

「うん。」

「時々、ああいう風にぼやいて凹むんだけどさ、最近その凹み方がひどかったんだよ。俺よりも成績もいいし、何をそんなに不安がってるんだろな。」

「マサキはしっかりとした将来設計があるのに、自分にはないことじゃない?」

「俺と比較してんの?だって、俺とは全然進む道違うじゃんか。比べるってこと事態がおかしくね?」

「進む道とかいうより、暗中模索って言う感じが不安なんじゃない?私も結構最近それで悩んでたし。」

「お前ら兄妹、何じめじめ悩んでんだよ。なるようにしかなんないんだから、とりあえずつき進めばいいのに。」

「そんなこと言うけど、やみくもに進めないじゃない。無駄足になるかもしれないんだし。」

「無駄なことなんて何1つないと俺は思ってるけどね。」

なんだかあゆみおばちゃんの生き方とマサキの言葉が重なった。