ただ、お兄ちゃんは未だあまり元気がないように見えた。

普段より口数も少ないし、食事をとったら、すぐに部屋にこもった。


「ユイカ-!昨日知ったんだけどさ。」

朝からマドカが私を見つけるや否や飛んできた。

「ユイカのお兄ちゃんて、うちのお姉ちゃんと同じ塾だったみたいだよ。」

「そうなんだ。」

「それだけ?」

「だって、それがどうかした?」

「だってさ、こないだは私に『マドカちゃんのお姉ちゃん元気?』なんてしばらく会ってないみたいな言い方してたじゃん。だけど、塾が一緒ならしょっちゅう顔合わせてるってことだよね?」

「ん、まぁそうだけど。」

「どうしてそんな風に言ったんだろ。」

「そんなことわかんないよ。」

なんとなく、あんまりお兄ちゃんの話をしたくなくて、気のない返事をした。

「なんだか、今日のユイカ冷たい-。」

マドカは「もう!」とふくれっ面をして私の腕を軽く押した。

「ねー、ユイカは知ってた?うちのお姉ちゃんとユイカのお兄ちゃんて、中学の時付き合ってたんだって。」

「は??!」

それには思わず私も目が飛び出すかと思うくらいに驚いた。

「し、知らない。」

「だからさ、なんとなく、こないだうちのお姉ちゃんの話が出たとき、ユイカのお兄ちゃんもマサキ先輩も変な空気になってたんじゃない?」

そういえば、妙な空気が漂ってて、私もちょっぴりお兄ちゃんとマドカのお姉ちゃんとの関係を怪しんだっけ。