ピンポーン

玄関のチャイムを鳴らす。

インターフォンからいつもの甲高いあゆみおばちゃんの声が聞こえた。

「ユイカ、いらっしゃい!待ってたわよ。」

ほどなくして、玄関の扉が開いた。

おばちゃんは普段と変わりない笑顔で私をぎゅっと抱きしめた。

「あら、きれいなお花。どうしたの?」

さ、上がって上がってといいながら、お花に気づいた。

「お母さんと私からプレゼント。」

「うわー、嬉しい。お花なんて贅沢なもの、自分ではなかなか買わないものね。ありがとう。」

やっぱりこの年代はお花を贈られると嬉しいんだ。

妙に納得する。

おばちゃんは母と違ってとてもきれい好きだった。

いつも整然とした部屋はモデルルームのよう。

無駄なものは何1つ置かれていなかった。

おばちゃんは、早速花瓶にお花を生けてダイニングテーブルの真ん中にドンとかざった。

「家の中にお花があると、なんていうかふわっと明るくなるわね。うちは一人だから余計にお花の存在感が際立つわ。」

あゆみおばちゃんは茶目っ気たっぷりの顔で笑った。

なんだかキュート。

おばちゃんは普段仕事で子供と接してるからか、年齢より随分若く見えた。

それに、とてもきれいでかわいい。

どうして、ずっと一人なんだろうっていつも不思議に思ってた。

「あとね、これ、私から。高校受験の時は色々相談乗ってくれてありがとうね。」

「あら?ユイカからプレゼントなんて初めてじゃない。ありがとうねぇ。何々?」

おばちゃんは丁寧に包装紙をほどいていった。

「きゃー!かわいい!私の大好きな子犬ちゃんじゃない!」

思った通りおばちゃんは満面の笑みで喜んでくれた。