「ここってさ、高校卒業するまでに資格支援制度が充実してるって、ひょっとしてユイカ知らなかった?」

「え?そうなの?」

全然知らなかった。

「資格目当てで受験する生徒も多いんだよ。私も成績+資格にひかれて受けたんだ。もちろん、ユイカも一緒だったから余計に行きたかったけどね。」

マドカはカフェオレを口につけた。

なんだか私よりずっと考えていて、カフェオレ飲んでる以上に大人びて見える。

ひょっとしたら、マサキもそうだったのかもしれない。

考えてないようですごく考えてる人間だから。

「マドカは資格って、例えばどんな資格を考えてるの?」

「そうだなぁ。うちの親は宅建取ってると後々便利だよって言ってる。あと、会計的なことを知っておくっていう点では簿記も取ってたら色々使えそう。」

ただ、頷くしかなかった。

宅建、簿記って言われても全くピンと来なかった。

マドカ、既に結構リサーチ済みなんじゃない?

何よ何よ、結局ぼんやり過ごしてるのって、私だけだったんじゃない?

なんだか悲しくなってきた。

「一緒に何か資格とらない?高校卒業するまでに。」

マドカが私に顔を近づけてきて、嬉しそうに言った。

「資格かぁ・・・。何取ればいいのかすらわかんないよ。」

「じゃぁ・・・これからの社会を見据えて、マサキ先輩と同じ福祉関係の資格調べてみたら?今資格とるの難しくても大学入って落ち着いてから取るっていう手もあるし。」

マサキと同じ福祉関係?

私みたいなマイペース人間には福祉なんてそぐわないと思うんですけど。

思いもしないことを、マドカはどんどん提案してくれてる。

まるで誘導されてるようだわ。