「じゃ、将来に繋がる勉強って?」

「さっきのマサキ先輩みたいにね。関係書読んで調べたり、資格取るための勉強するとか。」

私は「ふぅん」と頷きながらストローを加えて、マサキの本のページをめくる長い指を思い出していた。

そして言った。

「私はさぁ、漠然と大学には進学したいなって思ってる。」

ほんと漠然とだけど。

父も母もそれを望んでいたし、兄もおそらく大学受験する。

何になりたいかなんて決めるより、まずは大学行くことが先決だ。

私みたいな平凡な人間は、とりたてて手に職ってタイプでもないし、そこそこの大学行って、そこそこの会社に入ってOLさんにでもなれれば上等だと思ってた。

「大学って、何学部?だってそこ決めるにはやっぱり将来設計が大事じゃん?」

「何学部でもいいよ。とりあえず大学に入って、入った先で考える。」

「ってことは、OLでもいいかって感じ?」

「全然オッケー。」

「ふぅん。ユイカはもうちょっと色々考えてるかと思ってた。」

マドカは少し口をとがらせて不満そうだった。

「私、結構流される人間なんだよ。何も考えてないし。」

不満そうなマドカにちょっぴり反抗的な気持ちになった。

マドカは挑戦的に尋ねてきた。

「じゃ、高校はどうやって選んだの?」

「それはぁ・・・。」

マサキがいたから。

ってそんなこと言えるはずもなく。そういう理由しかない自分が少し恥ずかしい気がした。

「マドカは?」

答えられないもどかしさをかき消すようにマドカに振った。