我に返って、マドカの方に顔を向けると、

「そろそろ行かない?」ってマドカは口パクで言った。

そうだそうだ。

とりあえずカフェ席空いたか確かめに行かないと。

本屋で一日終わっちゃうよね。

「マサキ、またね。」

マサキも我に返ったようにこちらに顔を向けた。

「おう。二人とも勉強がんばれよ。」

そう言って二カッと笑って手を振った。

笑った時のマサキの顔は、小学生の頃のまんまだ。

私も小学生の頃に戻って、少しだけ笑ってみた。

「あ、やっと俺の顔見て笑った。」

マサキは一瞬目を丸くしたけど、すぐに嬉しそうに笑った。

顔が熱くなる。

そんなこと言わないでよ。せっかく笑えたのに!

恥ずかしくて、それ以上マサキと向かってられず思わずプイと背中を向けてカフェの方へ歩き出した。

マドカも慌てて私に続いた。

はぁ・・・。私ってどこまでかわい気のない女子なのかしらね。

ずーっとこのまま、こんな感じで大人になっていくんだろうか。

背中にマサキを感じながら、カフェへと急いだ。

「ユイカ、あったあった、窓際の席!二人分空いてるよ~。」

マドカが叫ぶ。

思わず二人でその席目がけて走った。

横並びのカウンター席。

ラッキーだった。

席を確保して、とりあえず、いつものようにドリンクを買ってくる。

甘くて冷たいものが飲みたくて、イチゴミルクなんてかわいらしいドリンクをオーダーした。