試験前だというのに、もしくは試験前だからか?いつもの駅前の本屋兼カフェは学生達でごったがえしていた。

座る場所を探すのに一苦労する。

しかし、二人並びの席はなかなか空いていなかった。

「やばっ。空いてないね。」

「今は無理っぽい。」

空きがでるまで、本屋でぶらぶら立ち読みすることにした。

いつものようにティーンネイジャーの雑誌コーナーで占いやファッションを見ながら盛り上がった後、その隣の筋のコーナーに入る。

雑誌とはうって変わって、専門書がずらりと並んでる。

背表紙を読んでるだけで頭がくらくらするわ。

さっさとこのコーナーから脱出しようと早足になったとき、目の前にすっと現れたのはマサキだった。

いきなりマサキの顔が私の目に飛び込んできたもんだから、心臓が爆発しそうになる。

と同時に一気に血液が顔に上昇。

もー、どうしていつもこんな風になっちゃうんだろう。

思わず、マドカの後ろに一歩下がった。

「あれ、ユイカじゃん。」

私の挙動不審な態度を見て、何もおかしいと感じないのか??

マサキはいつもと変わらない表情で近づいてきて、私を見下ろした。

「相変わらずちっちぇーな。」

そう言って、ポンポンと私の頭を叩く。

マサキの手の平が触れる度に、異常なほど鼓動が速くなった。

ゆっくりと目線をマサキの視線に持って行く。

黒目がちなキラキラしたマサキの目が私を見て笑っていた。

こないだの食事会で少しは慣れたはずだったマサキの目。

なのにまだだめだった。

すぐに目をそらす。

「何しに来たの?」

うつむいたままマサキに問いかけた。

「俺が本探しに来ちゃ悪い?」