そして、最後にはポツリと小さい声で言うの。

「ごめんって。泣くなって。」

って。

そして、自分のポケットから、あめ玉を取り出して、

「これやるから。」

って、泣きじゃくる私の手に無理矢理握らせた。

兄はそんな私たちをいつも柔らかい笑顔でだまって見ていた。

別にマサキを怒るわけでもなく、私を慰めるわけでもなく。

あめ玉をもらった私は、単純にも涙が止まり、口いっぱいに広がる甘い世界に酔いしれた。

気づいたら、マサキと兄と三人で笑っていた。

そんな泣いたり笑ったりの繰り返しの小学校時代。

なぜだか嫌いじゃなかった。

こうやっていつまでも三人でいれるような気がしていた。


中学校に入ると、急に勉強や部活やらが忙しくなったのか、わが家に入り浸りだったマサキはほとんどうちに顔を出さなくなくなっていった。

兄は、美術部。

マサキはサッカー部。

それぞれに忙しかったけど、週に一回は公園で二人で落ち合っていたみたい。

私は私でバスケ部に入ってたくさんの仲間と楽しく過ごしていた。

いつの間にか三人で過ごす時間がなくなって。

最初はちょっぴり寂しかったけど、そのうちそれが普通の生活になっていった。