立ち上がれないでいる私を見下ろしたマサキは首を傾げた。

「どうした?」

どうしよう。

マサキの目をじっと見つめていた。

目は口ほどに物を言うんなら、言わなくてもわかって。

なんて、この期に及んでそんなことを思ってしまう自分が情けない。

マサキとこんな風に二人でゆっくり話せる機会なんて、これからあるかわかんない。

もし、自分の気持ちを伝えるなら、今しかない。

「なんだよ。」

勘のいいマサキの表情が一瞬緊張した。

マサキは彼女さんのことがまだ好き。

これからもその関係は変わらないってわかってるのに、100%片思いだっていう確証があるのに言える?

初めて好きになった人への初めての告白が、振られること前提っていうのはどうなの?

「やっぱりいい。帰ろう。」

気づいたらそう答えていた。

立ち上がろうとしたその時、マサキは何を思ったのかまた私の横に座り直した。

「え?」

「まだあるんだろ。話。大事な俺の親友の妹の話だからな。ちゃんと真面目に聞くよ。」

マサキが見たこともないくらい、まっすぐな瞳で私を見つめている。

どうしよう?

心臓がどうにかなってしまうんじゃないかと思うほどにドキドキしている。