マサキはすっと目を伏せると、口元を緩めた。

「お前ら兄妹ってほんとどうしようもないっていうか。」

「ごめん。」

「でも、どうやっても嫌いになれないんだよな。お前の兄貴とはずっと繋がってるよ。これからもこれから先もずっと。」

体中の血液が沸き立つような感覚があった。

「本当?」

少し声が震える。

マサキは私とちらっと見て、頷いた。

「・・・よかったぁ。」

今まで張り詰めていたものがすうぅっと溶けていく。

「ユイカがどこまで話知ってんのかわかんないけど。結局俺達の関係は何も変わってないよ。ちょっとゴタゴタしてたから、俺自身気持ちを整理するのに彼女とシュンタと距離を置いてるだけで。」

そうだったんだ。

最後まで話を聞いてなかった私の早とちり。

だけど嬉しい早とちりだった。

「だけどさ、ユイカが話があるなんて珍しいし、まさか告られんじゃないかって正直すごく緊張してたんだぜ。」

マサキは少し照れた顔で笑った。

ドキン。

そう。

本当は、本当はね。

マサキにきちんと自分の気持ちを伝えたかった。

だけど、マサキと兄のことがそれ以上に大切だと思ったから言えなかった。

「んじゃ、帰る?日も暮れてきたし。」

マサキは立ち上がった。

これでいい?私の気持ちはこのままでいい?