「ユイカの話ってそれで終わり?」

マサキはぼんやりと公園を眺めながら尋ねた。

「私ね。最近ずっと思ってるの。思ってるっていうか祈ってるんだけど。」

「・・・何?」

小さく息を吐いた。

「最近気づいたことがあるんだ。マサキとお兄ちゃんがふざけたり、笑ったり、時々私に意地悪したりするけど、そんな二人を見てるのが大好きなんだって。二人がいつも一緒のところを見てたらなんだか安心するの、お兄ちゃんも、マサキのことが大好きで、本当に頼りにしてて、なくてはならない存在だって感じる。こないだのことがあったから余計に思うんだ。だから、マサキもお兄ちゃんと同じ気持ちであってほしいって。お兄ちゃんは、どうしようもないくらいだめな人間になっちゃっう時もあるから、マサキのこと困らせたり嫌な気持ちにさせちゃうかもしれないけど、でも、お兄ちゃんはきっとずっとマサキのことが大好きなの。だからね、だから・・・。」

「うん?」

マサキはようやく顔を上げてこちらに視線を向けた。

「どんなことがあっても、ずっとお兄ちゃんの親友でいてほしい。」

じっとマサキの目を見つめた。

今にも逸らしそうになる自分の気持ちをなんとか留めて。

マサキは私から視線を外すと、しばらく何かを考えているような表情でうつむいた。

そして、うつむいたまま私に言った。

「何か知ってるんだろ?」

「し、知らない。」

マサキの横顔がクスッと笑った。

「お前は昔から嘘つけない奴だもんな。」

そう言いながら私の顔をのぞき込んだ。

顔が熱い。

マサキのキラキラした瞳に吸い込まれそうなほど近い距離に今更ながら戸惑う。

いつのまにか明るい空はオレンジ色に染まっていて、マサキの瞳の奧にもオレンジが広がっていた。