「マサキは、今彼女さんとはうまくいってるの?」

「あ?」

急にまさかの彼女の話題を振られて、明らかに戸惑った顔をした。

「お前に言う必要ある?」

「うん。」

「なんでだよ。」

「なんでもよ。」

切り出したからには私も引き下がれない。

マサキの目をじっと見つめた。

「正直に言うと、冷却期間中って感じかな。」

「何それ?」

「お子ちゃまにはわかんないかもしれないけど、まぁ色々あってさ。ちょっとお互い距離を置いてるって感じ。」

「距離を置いたら何か変わるの?」

「変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。」

「マサキは何か変わりそう?」

マサキは「うーん」と顎に手をやってしばらく考えていた。

「ちょっと一人になって考えたいことがいっぱいあってさ。だからしばらく会わない期間を作ってるだけって感じ。だから正直自分は何も変わらないと思う。」

ひょっとしたら、マサキ達は別れてない?

「マサキは、彼女さんのことずっと好きなのね。」

マサキは少し口をとがらせて、照れた表情で頷いた。

別れてないんだ。

マサキとミキさんはまだ続いてる。

マサキの照れた横顔を見つめながら不思議な感覚に包まれる。

ショックだけど嬉しい。

すごく変な感じなんだけど。

兄とミキさんとは付き合ってないんだ。

兄は最後にマサキを裏切らなかった。

そして、きっとミキさんも。