「ああ、うん。」

心なしかマサキの反応もいつもよりぎこちない。

マサキもきっと何かを感じてる。

これから私が「何か」を伝えようとしていること。

まだ明るい公園は、親子連れが占領していた。

さすがに体育祭の後だけあって、疲れた学生達の姿は見えなかった。

「座る?」

マサキは空いているベンチに向かった。

私もマサキの背中に続く。

マサキが座った場所より30センチくらい離れたところに座った。

しばらく二人とも何も言わず、公園で遊んでいる子供達の姿を眺めていた。

マサキは大きく伸びをしたけれど、喧嘩の後遺症か「いてっ」と言って腕をさすった。

「痛いの?腕。」

マサキが擦っている腕を見ながら聞いた。

「ああ、ちょっとね。ま、こんなもんすぐ治るけど。」

そう言いながら、ポケットに手を突っ込んで足を組んだ。

「話って何?」って急かさないのは、マサキの優しさだと思う。

いつも意地悪なこと言うのに、そういう時は気を遣ってくれる。

明るい空は好きだけど、マサキといる時はもう少し薄暗い空の方が落ち着くような気がした。

「あのね。マサキ。」

思い切って切り出した。

マサキは私の方に顔を向けた。

「ん?」

「あのさ。」

「おう。」

「・・・えっと。」

「変な奴だな。」

マサキは笑った。

その笑顔に少しだけ緊張がほぐれる。

困ったようなマサキの笑顔が好きだ。きっともうずっと、随分前から。