二人で並んで歩くのは、これで三回目だ。

マサキの鞄が、マサキの背中に擦れる音がする。

ゆっくりと歩くその道のりがいつまでも続けばいいって思った。

マサキにはまだまだありがとうしなきゃなんないけど、これ以上言ったらまた怒られそうだったからやめよう。

どうしても言わなきゃならないことがある。

でも、その言葉をどういう風に、どういうタイミングで伝えればいいのかまだわからなかった。

「お前の兄貴は元気か?」

その時、ふいにマサキが前を向いたまま言った。

思わずマサキの顔を見上げた。

なんだかマサキの横顔を見ているだけで、涙が出そうだった。

「元気だよ。学校もちゃんと行ってるみたいだし。お兄ちゃんもマサキによろしくって。」

「・・・そっか。」

マサキは小さく答えた。

言わなきゃ。

私の一歩。

小さくて大きな一歩。

あゆみおばちゃんが教えてくれたように、自分を信じて。

自分の正直な心を言葉にすればいい。

マサキにわからないように息を吐いた。

「マサキ。」

「ん?」

「・・・あのね、マサキ。」

「何だよ。」

緊張で胸が張り裂けそうだった。

「ちょっとさ、あっちの公園行かない?」

このままだったらどうにかなりそうだったので目の前に出てきた公園を指刺して行った。

ちょっと気分転換しなくちゃ。

だめだ。こんなに緊張してたら。