「どうしよう?」

泣きそうな顔でマサキを見た。

「俺、あいつらの連れで1人知ってるやついるから聞いてみるわ。」

マサキは、そう言うとサーッと走って行った。

残されたマサキの友達が「あいつ、これからリレーなんじゃねぇの?」と心配そうにマサキの後姿を見送っていた。

ほんとだ。

これから大事な選抜対抗リレーなのに。

「マサキ-!」

慌ててマサキを呼び止めようとしたけれど、俊足のマサキはもう学生達の人の波に見えなくなっていた。

「俺、ちょっとマサキ呼んでくるわ。」

友達の1人がマサキの方へ走って行った。

私はどうすればいい?とりあえずマサキを待つしかない。

応援合戦は、マサキが出る予定の選抜対抗リレーの後だった。

入場門にはリレーを待つ学生達が既に集まって、先生が点呼していた。

マサキ、早く戻ってきて。

ハリボテは、私達がなんとかするから!

ぎゅっと両手をにぎりしめて、マサキの姿を探した。

リレーの入場行進の曲が流れ始めた。

まだマサキは来ない。

私のせいで、マサキが高校生活最後の選抜対抗リレーに出れなくなるなんてそんなの嫌だ。

そこへマドカが「ユイカ、ここにいたの?」と走ってきた。

「ハリボテはまだ見つからない?」

「さっきマサキが心当たりある友達に聞いてくるって言ってまだ戻ってこないの。だけど、マサキもこれから始まる選抜リレーに出ないといけないのに。」

「そうなの?もう入場始まってるじゃん!」

「うん、そうなの。早く戻ってこないと。」

マサキの出番はいつなんだろう。

せめてその出番までに戻ってきて欲しい。