「お母さんもあなたの勇姿をを見に行きたいけど、ちょっとあゆみおばちゃんの様子見てくるわ。今日はがんばって。うまくいくよう祈ってるわ。」

「うん、ありがとう。おばちゃんにもよろしく伝えてね。」

あゆみおばちゃんはあれから、まだずっと入院していた。

母の話ではあまり具合がよくないらしい。

体育祭が終わったら、真っ先にお見舞いに行く予定にしていた。

たくさん報告したいことがあるから。

「いってきます!」

そう言って玄関に飛びだした。

その時、丁度階段から兄が降りてきた。

「ユイカ、早いな。体育祭だったっけ。」

頭をポリポリ掻きながら、兄は言った。

「うん。そうだよ。」

「マサキに会ったらよろしく言っといて。」

靴を履きながら、黙って頷いた。

「がんばれよ。」

玄関の扉の向こうで兄の優しい声が響いていた。

がんばるよ。

今日は、いっぱいがんばらないといけないの。

あゆみおばちゃんの言っていた、自分の殻を破る一歩になるかもしれない。

門を閉めて、駅に向かって走り出した。

今日はいい天気。

朝日が空をきらきら輝かせている。

エンジン全開!今日は、絶対成功させるんだから。

ハルトの分も。