「いいえ。ハルトさん、お大事になさって下さい。」

電話が切れた後、しばらく動けなかった。

自分が、想像以上にハルトが緊急入院したことにショックを受けていることに気づく。

体育祭は、ハルトがいるからって安心しきっていたのに急に頼りにしていたハルトが来なくなるっていう不安。

それから、ハルトの体調の心配・・・。

大丈夫なのかな。

私がこんなだから無理させちゃったのかもしれない。

不安にかられて、思わずマドカに電話をしていた。

「どうしたの?こんな夜遅くに。明日は体育祭だよー。」

マドカは電話の向こうで少し眠そうな声で言った。

「ごめん。ちょっとショックなことあって、どうしても誰かに聞いてもらいたくってさ。」

「何があったの?」

「ハルトが緊急入院したって。明日の体育祭お休みなの。」

「えー!そうなの?実行委員長お休みってかなり厳しいけど、ユイカは大丈夫?」

「今探したら、ハルトが明日の手順わかりやすく書いてくれたメモがあったから、これ見てやればなんとかなりそう。だけど、ハルト大丈夫かな・・・私、ハルトに全部任せてたからきっと疲れが溜まってたんだわ。」

「大丈夫よ!ハルトは大丈夫。なんだかんだで強いタイプみたいだから。これまでだって少々のことではへっちゃらだったじゃない?あと、応援団について私、いくらでも手伝うから言って!せっかくの応援団、絶対成功させよう。」

「うん。ありがとう。」

こういう時、やっぱりマドカがいてくれてよかったって思う。

マドカの存在は大きい。

どんな時もなくてはならない親友。

親友・・・。

マサキの顔がふっと現れてすぐに消えた。

「明日は、マドカのこと頼りにさせてもらうね。がんばろうね。」

一気に緊張が増幅した。

だけど、それ以上に自分の中に秘めていたある決意がむくむくとわき出してくるのを感じていた。