マドカは手を止めて私を見た。

「あれ?ユイカ知らないの?」

「何?知らない。」

「そっか。」

マドカはゴミを集めた袋を固く縛った。

「ゴミ捨てて帰ろっか。」

私達は鞄を提げて、部屋から出た。

学校の外に出ると、もうすぐ18時だというのにまだまだ明るい。

夏が近づき、随分日が長くなった。

日が長いのは、なんだか得した気分になって嬉しい。

結局使える時間は一緒なんだけどね。

地球の北の果てに「白夜」っていう、一日中明るい場所があるらしい。

何かの本で読んだ。

本気でそこに移住しようかと思うくらい、昔から暗い夜は苦手だった。

ゴミを捨てて「これでよし。」とマドカは手を払った。

「でさ。」

さっきの話、宙ぶらりんなのが気持ち悪い。

「山崎ハルトのことで、マドカが知ってて私が知らないことって何なの?」

「ああ、うん。」

マドカは珍しく言葉を濁した。

なんだか聞いちゃいけないこと聞いてる?私。

「ユイカもてっきり知ってるかと思ってたからさ。」

「うん。でも、知らない。」

「なんとなく内容が内容だけに、軽はずみにしゃべっていいのかって今自分と葛藤してる。」

マドカらしい言い方だった。

元々マドカはとても口が堅くて、私にすら何でもかんでも情報を漏らすようなタイプじゃなかった。

だからこそ信頼してるんだけどね。

「いいよ、言いたくなかったら。別に一緒に仕事するのに支障ないでしょ?」

「うん・・・。だけど、てっきりハルトから直接聞いてるかと思ってたから意外だったんだ。だって、2人で委員長と副委員長って立場だし、お互い事情は知ってた方が何かと都合がいいかと思ったんだけど。」

「そんな内容なの?めっちゃ気になるじゃん。」

「ハルトに直接聞いてもいいかもしれないけど、ここまで来たら教えちゃうね。」

「うん。」

なんだかドキドキしていた。

なんだろう?知らなきゃよかったってことにはならないかな。