部活が休みの日、いつものようにマドカとハリボテを作っていた。

「君たち、好きなんだね。ハリボテ。」

横でハルトがクールに言った。

そういう言い方されたら、思わず「別に好きじゃないんだけどね。」って言いたくなる。

言いそうになった時、マドカが先にハルトに答えた。

「そう、結構はまっちゃってるんだよねー。ユイカ。」

もう!

確かにはまってるんだけどさ。なんとなくハルトには素直に「うん」って言いたくないんだよね。

ハルトは、「やっぱり。」と言って笑った。

あ。

ハルトってこんな顔して笑うんだ。

普段はクールな無表情なのに、一気に少年みたいな無邪気な顔になる。

ふぅん。

時間も忘れてハリボテ作っていたら、下校のチャイムが鳴った。

「うわ、もうこんな時間。」

ハルトが急に慌てた様子で立ち上がった。

「ごめん。今日はこの後用事があるから、先に帰っていいかな。」

「いいよ。後片付けは私達でやっとくし。」

マドカが余計なことを言う。

私達ってかなりな協力者になってない?

そんな気、全然ないんだけど。少なくとも私は。

「ありがとう。じゃ、よろしくね。」

ハルトは、鞄を肩からかけて「じゃ。」と言って、足早に帰って行った。

「片づけようか。」

マドカが周りのごみを手早く拾い集める。

私も慌てて拾い集めながらマドカに言った。

「ねー。山崎ハルトってさ、部活もやってないけど、時々ああやって用事とか行って帰るよね。何かやってんのかな。」