少し息が苦しい。
最近、ちょっぴり風邪気味だったからかな。
風邪をひくと喘息の発作が起きやすくなって。

『ゲホッ、ゲホッ。』

「おい、大丈夫か!?」

『・・・大・・・丈夫だよ。ゲホッ。』


心配そうに尋ねる冬希。


私は知ってる。
冬希が部活に入らない理由。
面倒くさいからとか言って本人はごまかすけど、私のせいなんだ。
本当はやりたいこともあるはず。
でも、毎日一緒に帰ってくれて、私が独りぼっちにならないようにって。


私を気遣ってくれたり、冬希が優しいのは昔から変わらない。
常に冬希は私の心の支えだった。
繰り返される入院の度、毎日のようにお見舞いに来てくれた。
本当に感謝してもしきれないくらい。

だけど、ごめんねが先に出てしまう。
本当はありがとうって言いたいのだけれど。
迷惑かけてばっかな気がして、すごく申し訳ない気持ちになる。
私は冬希に何もしてあげられないから。


『ゲホッ、ゲホゲホッ。』

「全く、無理すんなよな。」

気がつけば、冬希は咳き込む私の背中をさすってくれていた。

『ごめんね、ありがとう。』

ほら、また。
「ありがとう」よりも「ごめんね」が先に出た。