「恋雪、帰ろうぜ。」

澄ました顔で言う冬希に笑顔で応えた。

『あ、うん。帰ろうか。』

教室のあちこちから、コソコソと笑う声や冷やかしが聞こえた。
けど、気にしない。


冬希とは幼なじみで、ずっと仲良くしている。
同じ冬生まれということもあって、昔から誕生日も一緒にお祝いしたり。


「あ、恋雪。バイバイ、また明日。」

『うん、バイバイ。部活頑張ってね。』


友達にも挨拶をすまして部屋を出た。


中学校に入って約1ヶ月。
新しく出来た友達はみんな部活に入っていた。
だけど、私は入らなかった。
いや、正しくは入れないんだよね。


小さい頃から私は体が弱かった。
厄介な病気があって、毎日たくさんの薬を飲んできた。
少し無理をすれば、私なんて簡単に壊れちゃうわけで。
だから、みんなみたいに部活まで体力がもたないのだ。