私はベンチに下がった小佐田先輩の足首をテーピングする。
「俺のこと怖くねぇの?」
私をからかっているのかそんなことを聞いてくる小佐田先輩を、キッと睨んだ。
今は怖くない。試合でお疲れだろうし、私を口説いてくる余裕もないはずだ。
それに。
「……仕事ですから」
これは、マネージャーの仕事。
今日で最後なら、今まで以上に真剣に取り組みたい。
テーピングを終えて、点数を確認する。
私達が64点、西中学が66点。点差は縮まっていた。
しかし、すぐに西中学はシュートを決めて、68点となり差が開く。
「碧!」
千から芹沢へ、そしてまた千へとボールが渡る。
さっきまでパスミスがあったなんて思えないくらい、華麗なパス回しだった。