ひんやりと冷たい風が、まだ痛みが残っている頬をさする。
練習試合は、9時から。
今の時刻は、8時。ちょっと早く家を出すぎちゃったかな。
それに、瑛美が学校に着く時間をメールで聞いておけばよかった。
学校に着き、そのまま体育館へ向かう。
体育館の前には人がいた。
昨日と同じように扉に寄りかかっている瑛美の姿を捉え、思わず足を止める。
「桃葉、おはよ」
「おはよう、瑛美」
私に気づいた瑛美が挨拶をしてきて、私は少し遅れてぎこちない挨拶を返す。
気まずい空気が流れる。
「マネージャーの仕事する前に、話そ」
瑛美の言葉に、私はすぐ頷いた。
私は瑛美の隣に立ち、瑛美のように扉に寄りかかる。