誰かを好きになった気持ちは、募れば募るほど、そう簡単には諦められなくなって、消せなくなる。


それでも次に進むために、と封印する想いはとても儚くて。


せっかく止まった涙が、またこぼれてしまいそうになった。



「芹沢……」


「遠慮しないでバッサリ頼む。そうしないと、ずるずる引きずっちまいそうなんだ」



芹沢のわざとらしい明るい声が、私の涙を誘う。


瑛美の好きな人は、かっこいいね。




「ごめんなさい。芹沢の気持ちには、応えられません」




心臓が、喉が、潰れてしまいそうだ。


私の声は、どうしようもないほど震えていた。


芹沢の体温がひどく温かく感じた。



「好きになってくれて、ありがとう」



私に伝えられるのは、これくらいだけど。


本当に、本当に、嬉しいよ。